おかあさん、おいてかないで

 これはルーマニアの物語。平和な日々を過ごしている渡り鳥の一家が、ある日、狩人に追われる。「出てはいけませんよ」という母鳥の言いつけを聞かずに飛び上ってしまった兄さん鳥は、羽に散弾を受ける。幸いにも狩人は、小鳥と悟って草むらにうち捨てて行くが、冬が迫って仲間が南の国に去っても、羽が傷ついた兄さん鳥は飛べない。
 母親の愛情、家族の絆、自然の厳しさを作者は冷静に最後まで描いている。
 大きな字、平易な文で書かれていて、一見小学校低学年向きのようだが、大人にも十分読みごたえがある。