レオナルド・ダ・ヴィンチの空想厨房

 こんなにおもしろい本を、子どもに薦めて良いだろうか。子どもの本にしては高値だし、子ども向きの本ではない。が、『最後の晩餐』を描くためにその寺院の酒蔵を空にした話、武器や城の設計の模型を王様の晩餐会で食べられてしまった話など、ダ・ヴィンチが偉大な画家であり、画家と言うにはあまりにも多才な天才であったことを知る大人にも楽
しいには相違ないが、知らずに読む子は、きっと、ダ・ヴィンチをもっと知りたいという欲望に駆られるだろう。
 隣席の人のスカートでナイフを拭うのは正しいマナーではない、というメモや、ペストの客をどうもてなすかなど。訳者の後書も必読である。