円の兄弟―図で考える数学

 数学の本ではあるが、読み物としても楽しい。
 楕円は円の兄弟である、といって、円すい形のシェードをつけたスタンドの光が描き出す図形から説明が始まる。お盆やお皿といった身近な形から、円という抽象的な形の概念へと進み、数式へと導かれる。
 第二章でも、正方形から三角形、図形から数式へと話が展開するので、数学アレルギーの子どもも拒否反応を起こさないだろう。いつのまにか話は『論語』にも及び、数学が論理学の基となることも自然に学んでしまう。
 内容はかなり高度だが中学二年程度までの数式、定理しか用いておらず、しかも説明が平易なので、小学校高学年の子どもでも十分理解できる。