ぼくは12歳

 この少年は十二歳で空に身を投げた。父親が朝鮮人ゆえの悩みが深かっただろうと母親が書き添えていて、いろいろ話題になった本だが、今はむしろ一冊の詩集として子ども達にもこれを読んでほしい。悲しみや苦しみの、大人びた詩もいくつかあるが、健康でみずみずしい作品のほうがずっと多く、若者に共通する心がうたわれている。
一つぶのなみだは
一てきの雨にあたいする
思いちがいのなみだは
雨上がりの葉からほとばしる
一てきの雨にあたいする
ごめんなさいというほほえみは
雨上がりのにじにあたいする
 ("ごめんなさい"より)