銀河鉄道の夜

 このごろまたあちこちで宮沢賢治が取りあげられている。この物語も、この影絵のほかに小林敏也の線画による同じ大きさのものが書店に並んでいて、同じ物語から二つの異なった世界が描き出されているのが面白い。どちらを選ぶかは好みによるが、幼いころ読んだ『銀河鉄道の夜』は、夜空一面に星が輝くこの影絵の世界に近かったような気がする。
 後者が原文をそのまま絵本にしているのに比べて、藤城清治はできるだけ原文どおりにしながらも文章を短く縮めている。しかし、読む力のある子ならこの絵と文から、原文にある銀河鉄道の美しい世界を心に描くことができる。

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