かあさんは魔女じゃない

 何かとても薄気味悪い感じで始まるこの物語は、十五、六世紀にヨーロッパで実際に行われていた魔女裁判の話である。自分の母親が偽りの告白によって火あぶりにされた少年エスベンの心境を思うだけで胸が痛くなるが、世のはみだし者のハンスとの出会いでホッとする。が、それも束の間......。
 こんな残酷なことがほんとうに行われたとは信じたくないが、人権尊重が重視されているはずの今でさえ、人間が弱さを持つかぎり世界のどこかで同じようなことが行われているのではないかと考えさせられる。

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