A DAY(ア デイ)

 優等生だった晃が、少しずつツッパリに染まってゆく。取り立てて理由もなく変わってゆくさまは、これが実話ならおそらく当事者である親も先生も、自分たちの何が子どもを追いこんでゆくのか見当もつかなかったことだろう。
 だれもが通る青春という世界。それは大人が忘れたがっている暗闇の世界。この本は、何を見つければ良いのか、何を探し出せば良いのか分からず、手探りで生きようとする一番壊れやすい時期の子どもの姿を、作者の主観を加えず、淡々と描いている。
 子どもを理解しようと無理をしなくとも、親や先生自身が己を知れば、おのずから子どもの心が見えてくるのではないだろうか。