子そだてゆうれい

 怖くないおばけの話、と言っても、近ごろはやりのユーモアおばけではない。
 六晩続けて一文ずつ飴を買いにくる若い女の人が、七日目の晩、お金がないから、と片袖をちぎって飴にかえて帰っていった。不審に思った飴屋が後をつけると、その女の人はお墓の中に消え、中から赤ん坊の泣き声が聞こえる。和尚さんと飴屋がお墓を開けてみると......。
 死んでからも赤ん坊を育てようとする若い母親の深い愛情が、怖いばかりのゆうれい話を一味変えたものにしている。若山憲の絵も、怖さと温かさを共に描き出している。