これは、誰もが知っている「三匹の子ぶた」ではない。ちょっと変わった数学の本である。おおかみのソクラテスは、奥さんのクサンチッペに食べさせるために、野原で遊んでいる三匹の子ぶたを捕まえようとする。が、はてさて、どうしたら五軒の家のどこかで眠っている三匹の子ぶたを捕まえることができるか?そこでソクラテスは、かえるのピタゴラスといっしょに考えるのだが、これがどうして、なかなか難しいのである。
これは数学の順列組合せの問題なのだが、計算のスピードやテクニックが重視されている現在の学校教育で見失われている「なぜこうなるのか」という思考の過程を、安野光雅の楽しい絵と共に、分かりやすく説いている。
イスラエルの予言者ヨナは神に「敵国ニネベに行け」と命じられるが、敵国が栄えるのを嫌って、そのことばにそむき、神の怒りに触れる。しかし、罪を悔いて神に祈ると許され、ニネベの町へ行き、神のことばを人々に伝える。神のことばを聞いた人々は正しい生活をするようになり、ニネベの町は栄える、という欧米では誰もが知っている旧約聖書からのお話を絵本にしたもの。英国人ハットンによる表情豊かな挿絵が、物語をより楽しいものにしている。
聖書を知らない日本の子どもには理解しにくいところもあるかもしれないが、この本は聖書に親しむ良いきっかけにもなることだろう。
ほかの宗教を知ることは、異文化を知る良い手がかりである。
何かとても薄気味悪い感じで始まるこの物語は、十五、六世紀にヨーロッパで実際に行われていた魔女裁判の話である。自分の母親が偽りの告白によって火あぶりにされた少年エスベンの心境を思うだけで胸が痛くなるが、世のはみだし者のハンスとの出会いでホッとする。が、それも束の間……。
こんな残酷なことがほんとうに行われたとは信じたくないが、人権尊重が重視されているはずの今でさえ、人間が弱さを持つかぎり世界のどこかで同じようなことが行われているのではないかと考えさせられる。
初夏の風物、かえる。かえるづくしのこの本で日本語のおもしろさを再発見したり、絵巻物の数ページに子ども達の目は釘づけになることだろう。かえるの表情と、ことばのリズムが楽しい一冊。