“こういう本を読んで育つ子どもは幸せだな”と、うらやましくなる。立派に地学の教科書になりうる内容を持ちながら、絵本の楽しさを失っていない。
地球の始まり、生物の発生と推移、人間の誕生、文明の発達、現代の自然の状況、そして時間とは何か、歴史の中のこの一瞬などのテーマを、遠いものから近いものへ、大きなものから身近なものへと順を追って説明している。
バクテリアから始まって人類にいたる“生命の歴史”は、それ自体壮大なドラマである、と、この絵本は語っている。
バートンの絵は正確で明瞭でありながら、子どもの心に訴える暖かさも持ち合わせている。
戦下の食糧難の日本で、動物園の象が死んでいった。芸をすれば餌がもらえるものと、得意な芸を繰り返し披露しながら飢え死にした象の物語は、何回読み返しても涙ぐまずにはいられない。
戦争の悲惨さを訴え、叫び続ける反戦文学は数多いが、時としてその叫びが大きすぎて、子どもの心を素通りしてしまうことがある。ところが、この小さなエピソードは、それが小さくて身近であるだけに、子どもの目にもしっかりととらえられ、戦争の恐ろしさが心に刻み付けられる。
主題も語りかける文体も、子どもに自覚を促す具体的な設問も良いだけに、日本の子供向けに内容が加味されていないのが、とても惜しまれる。特に校則、法律に関する項など、日本の状況を注釈として書き加えてほしかった。もともとこの項は、アメリカと日本の学校の相違を浮き彫りにさせているのだから……。
すぐにいじめや自殺に走る日本の子どもの幼稚さが、この本を読むことによって改善されるかもしれない。帰国する子どもの考え方の相違を知るためにも、まず学校の先生に読んでほしい本である。
何枚かの大きな画面に、無数の子どもの動作が描かれ、動詞が添えられている楽しい本。
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