この本は両側が表紙で裏表紙がない。ところが、どちらの表紙から開いても、Aから始まりZで終わる、という不思議な本である。
魔法の本だけに、ただ開いてみても、美しい色どりのゆがんだ形が描かれているばかりで、魔法の鏡がなければ読みとれない。その鏡は付録の銀紙で作るのだが、スペアもあり、それもなくした人のために、何屋さんで何を買えば代用になるかまであとがきで解説してある。しかし、裏表紙のない本のあとがきはどこにあるのだろう……。
あとがきのページにはちゃんと紙がはさんであり、ゆがみ絵を描くための魔法の方眼紙になっている。こういう心遣いに加えて、各ページの絵やアイディアが実に楽しい。
少年クラバートは、不思議な夢に誘われて、荒地の水車場の見習いになる。食うや食わずの浮浪児暮らしよりはまし、とつらい仕事にも堪え、やがて魔法を習うようになる。
次第に親方の秘密を知り、逃げ出そうとするが、それには愛し合う少女の命がけの協力がなければできない。
ドイツ伝説に取り組み、十一年の年月を掛けて仕上げた作品で、その気分転換に書いたのが、あの『大どろぼうホッツェンプロッツ』だという。
――仕事では厳しい親方だが、魔法を教えるときはしからない。覚えるのは自分のためだから――という辺りに、教師だったプロイスラーの願いが込められている。
アシナガバチの巣づくりを、最初から最後まで、美しく鮮明な写真でつづっている。
ある春の日、偶然ハチの巣づくりを見付けた喜び、一つひとつの部屋づくり、産卵、幼虫に青虫を食べさせる様などを、克明に撮影し、簡潔な文章を添えている。
作者自身が付きっきりで観察しただけに、アシナガバチへの愛情が読者にもひしひしと伝わり、夏の終わりに心ない人間がいたずらにその巣を壊したシーンを見て、横に落ちていた空カンと棒切れを、写さずにはいられなかった作者の心情がよく分かる。
巣に、花に、群がるハチの写真は、生態というより、ドラマを感じさせる。
昔ながらのわらべうたは、やはり母親が節を付けて子どもに歌い聞かせてやりたいもの。
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