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前号で「幼児にことばや文字を教えるには絵本の読み聞かせが良い」と書いたが、これは絵本を教科書代りに使えというのではない。むしろ、そういう下心で読み聞かせをするのは邪道である。
が、幼稚園の入試のためにワークブックでことばを習得させられる子ども達を思えば、せめて絵本の読み聞かせを、と叫びたくなる。
ことばを知識として貯えるばかりで、愛を語ることも知らないロボット人間を育てるのはもうやめてほしい。
昔、貧乏な王子が皇帝の王女を好きになり、貴重な二つの贈り物を添えて結婚を申し込んだ。それは、人の心を安らかにするバラの花と、世界中の音楽を我が物にするナイチンゲールだったが、王女にはその価値が分からず、結婚を断ってしまう。
そこで王子は豚飼いに身をやつし、次々とおもしろい細工物を作った。王女は、それがほしくてならない。が……。
語りかけるように書かれた文章は小さな子にも分かりやすく、こまやかに描かれた絵が、子どもの心を物語の世界に連れてゆくことだろう。