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幼児の読書が人格をつくる、と脅す気はないが、実例は多い。
つい先日も、サークルの友人と音楽会で会って絵本の話になり、同じ絵本、同じ童話が愛読書だったと知って驚いた。育った環境も違うふたりが、中年になって同じサークルで出会い、同じ音楽家のファンになったのは、幼時に繰り返し読んだ数冊の本の影響、と言えないだろうか。年の始め、おせちを囲んで、親子で思い出の一冊を語り合うのも一興。
少年クラバートは、不思議な夢に誘われて、荒地の水車場の見習いになる。食うや食わずの浮浪児暮らしよりはまし、とつらい仕事にも堪え、やがて魔法を習うようになる。
次第に親方の秘密を知り、逃げ出そうとするが、それには愛し合う少女の命がけの協力がなければできない。
ドイツ伝説に取り組み、十一年の年月を掛けて仕上げた作品で、その気分転換に書いたのが、あの『大どろぼうホッツェンプロッツ』だという。
――仕事では厳しい親方だが、魔法を教えるときはしからない。覚えるのは自分のためだから――という辺りに、教師だったプロイスラーの願いが込められている。