国際児童文庫協会の小林悠紀子が子ども達に薦める630冊の本

月刊誌『海外子女教育』の連載「子どもの本棚」を集積したものです。他に、同誌に掲載された投稿、取材原稿、特集記事なども、挿入されています。「子どもの本棚」は、海外に住む日本の子ども達のために、特に注意して選ばれた児童書の推薦欄です。これから海外に赴任する方、海外の子どもに本を送る立場にある方に、読んでいだだけたらお役に立てると思います。

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天動説の絵本―てんがうごいていたころのはなし

 本全体が大理石に描かれたような、美しい凝った絵本である。安野光雅の精緻な絵には農夫の蒔く種まで描き込まれ、一見写実的でありながら、非現実的な世界を描き出している。ジプシーや魔女狩りの絵を見るだけでも、ページごとに物語が聞こえてくる。錬金術師の小屋につっぱったワニがぶらさがっていたり、ひげのおじいさんが地面にANNOと文字を書いて考え込んでいたりする。作者は絵本好きの人にだけ分かる楽しいメッセージをあちこちに潜ませている。
 もちろん内容は天動説をかみくだいて子どもに語りかけているのだが“解説とあとがき”で――この本は、もう地球儀というものを見、地球が丸いことを前もって知ってしまった子どもに、いま一度地動説を知った時の驚きと悲しみを感じてもらいたいと語っており、――現代の情報過多を考えさせられる。

天動説の絵本―てんがうごいていたころのはなし

(ASIN: 4834007510)
安野 光雅  ¥ 1,575
福音館書店 / 在庫あり。

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