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天動説の絵本―てんがうごいていたころのはなし

 本全体が大理石に描かれたような、美しい凝った絵本である。安野光雅の精緻な絵には農夫の蒔く種まで描き込まれ、一見写実的でありながら、非現実的な世界を描き出している。ジプシーや魔女狩りの絵を見るだけでも、ページごとに物語が聞こえてくる。錬金術師の小屋につっぱったワニがぶらさがっていたり、ひげのおじいさんが地面にANNOと文字を書いて考え込んでいたりする。作者は絵本好きの人にだけ分かる楽しいメッセージをあちこちに潜ませている。
 もちろん内容は天動説をかみくだいて子どもに語りかけているのだが“解説とあとがき”で――この本は、もう地球儀というものを見、地球が丸いことを前もって知ってしまった子どもに、いま一度地動説を知った時の驚きと悲しみを感じてもらいたいと語っており、――現代の情報過多を考えさせられる。


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