国際児童文庫協会の小林悠紀子が子ども達に薦める630冊の本

月刊誌『海外子女教育』の連載「子どもの本棚」を集積したものです。他に、同誌に掲載された投稿、取材原稿、特集記事なども、挿入されています。「子どもの本棚」は、海外に住む日本の子ども達のために、特に注意して選ばれた児童書の推薦欄です。これから海外に赴任する方、海外の子どもに本を送る立場にある方に、読んでいだだけたらお役に立てると思います。

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ふたりのイーダ―子どもの文学傑作選 (子どもの文学傑作選)

 これは、いなくなった持ち主を捜して歩きまわる小さな椅子と、イーダという女の子の物語である。「イナイ、イナイ」とつぶやく不思議な椅子との出会い、イーダが原爆で死んだと知ると自らバラバラにくずれてしまう椅子の哀しみをとおして、読者は死別のつらさと、それを避けられない戦争の怖さを知る。
 戦争を子に語り継ぐことは、親の役目とはいえ、自らの体験を持たない今の親達には難しく、まして、日本の情報そのものが少ない海外で、歪んだイメージを与えずに戦争を語るのは至難の業である。ドキュメンタリー風に生のまま戦争を描いた作品は多いが、日本で読むのとは環境が違いすぎて、子どもの心への影響も案じられる。その点この物語は、非常に優れたファンタジーでありながら、無理なく戦争の傷ましさを浮き彫りにし、なお夢の残る作品である。

ふたりのイーダ―子どもの文学傑作選 (子どもの文学傑作選)

(ASIN: 4062611554)
松谷 みよ子  ¥ 1,575
講談社

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