1984年07月 | もりのへなそうる »

はなのすきなうし (岩波の子どもの本 (11))

 “むかし、すぺいんに、ふぇるじなんどという、かわいいこうしがすんでいました”で始まるこの物語は、各国の子ども達に、よく読まれている。
 “うしとはいうものの、よくもののわかった おかあさんでしたので”などという一文が、この本を子ども達に読んでやっている人間のお母さんを、一瞬ギクリと反省させたりもするが、やさしい、きれいな日本語訳で書かれているので、その点でも、あやふやな日本語を使いがちな海外の子ども達に、安心して薦められる。繰り返し読んで聞かせるうちに、心に浸み込んでくる文章である。
 輪郭だけの、すっきりしたローソンの絵も、かえって空想の広がりを誘い、コルクの木にコルク栓の実がなっていたり、木の幹にフェルジナンドの身長が刻みつけてあったり、という画家のいたずら心も、子ども達を楽しませる。ぜひ、原書も入手して、読み合わせてほしい一冊である。

はなのすきなうし (岩波の子どもの本 (11))

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